【2014年5月23日 第一部 開演】
いよいよ5月23日の本番を迎えた。ステージ上に鮮やかなブルーの絨毯が敷かれ、木製の大きな菱形の照明が天井からつり下げられる。メンバーそれぞれに部屋が割り振られるようにカラフルな小窓の付いた舞台装飾が組み立てられていった。
リハーサルでは細かなサウンドチェックの他に、クラウドファンディング企画のリハーサル見学もあり、ステージ上にて和気あいあいと支援者との記念撮影会が行われた。
リハーサルが終わると間もなく開場。ホールは満員御礼。
いよいよ会場の明かりが落とされ、まずは10年の軌跡を辿るメンバーや関係者のインタビュー映像が上映される。
上映が終わると、暗闇の中ステージにトクマルとメンバーが静かに現れた。
拍手がおさまると、SEが流れ出し、客席も固唾をのむ。
photo by 大塚日出樹
1.Such a Color
蝉の声のSEがそっとなり響き、ただならぬ緊張感の中、トクマルがポロンとウクレレを鳴らす。
それを合図に、ピアニカやパーカッションの音が重なっていきステージの明かりが淡く灯されていった。
一音も聞き逃すまいというような客席の静寂と、メンバーの集中力が会場中を包み込んでいた。
2.Light Chair
完全再現のためMCもなく、アルバムの進行通りにライブが進んでいく。
拍手が止み、しんとしたホール全体に乾いたギターと竹琴の小さな音が鳴り響き出す。
録音時にも使われた、PCキーボードを打つ音までも生演奏で再現された。
3.Lantern on the Water
2本のベースのボウイング奏法(弓弾き)の幽玄な響きが美しい。
カリンバが輪郭を象る中、歌声がぼんやりと漂い、不思議な空間を作り出していた。
photo by 大塚日出樹
4.Sleet
メンバー6人全員が弦楽器を抱え、トクマルが当時ひとりで多重録音したギター六重奏を再現。
5.The Mop
普段はもの凄いスピードで演奏されている楽曲だが、アルバムバージョン通りの少し落ち着いたテンポの明るいカントリーサウンドで演奏された。
6.Switch
トクマルがとても気に入っている、という静かな楽曲。ギターとボンゴで静かに始まり、紙をちぎったり丸めたり破いたりする音や、サンダードラムで雰囲気が作り込まれる中、小さく響く2台のトイピアノの音と歌声が浮かび上がった。
7.Typewriter
こちらもライブでお馴染みの楽曲だが、アルバムバージョン通りの渋みあるギター2本のアレンジが新鮮だ。10年前、狭い部屋だけで響いていたであろうトイパーカッションの音色が広いグローブ座の会場に響き渡る。
photo by 大塚日出樹
8.Paparazzi
普段はダブルアンコールやトリプルアンコールの際に原曲とは違ったパワフルなアレンジで演奏される楽曲だが、フルバージョンで演奏される。音源では早回しで録音されたトクマルのギターサウンドが、速弾きでリアルタイムに演奏された。
9.Funfair
ちょっぴり間抜けなリズムからの、ピアニカの伴奏とリコーダー二重奏が、壊れかけた古いメリーゴーランドのような、不思議なかわいらしさと気味の悪さを醸し出していた。
10.A Kite of Night
天井の木製照明がぼんやりとステージを照らす薄明かりの中、最後はトクマルがひとり、
暖かいシンプルなギターとささやくような歌で、およそ30分のアルバムNight Pieceをそっと締めくくった。
そして会場は、大きな大きな拍手に包まれた。
photo by 大塚日出樹
【第二部 開演】
ステージはまた暗転し、今度はバンドメンバーが他のメンバーについて語るインタビュー映像が上映された。
あまり表沙汰されないトクマルやメンバーの人柄やエピソードなどが明かされ、笑いに包まれた。
上映が終わりトクマルとバンドメンバーが再登場。第一部の雰囲気とは打って変わって、舞台装飾のカラーアクリルの窓が鮮やかに反射する中、2ndアルバムに収録されている"Vista"からスタート。
photo by 大塚日出樹
第一部での緊張感から解き放たれたようなのびのびとしたバンドサウンドが開放的で心地よい。これまでリリースされてきた5枚のアルバムから順々に、この10年の軌跡をたどるようなセットリストで楽曲達がひとつずつ披露されていった。
photo by 佛坂和之

photo by 佛坂和之
photo by 佛坂和之
あっという間に第二部が終了し、トクマルたちがステージを後にするとすぐにアンコールが起こった。それに応えて、出てくるトクマルとバンドメンバー。すると会場に表彰状授与式でお馴染みの"得賞歌"が流れ出す。目をまん丸くするトクマル。
アコーディオンのユミコから『これより、トクマルシューゴ10周年記念サプライズ表彰式を始めます!』とのアナウンス。メンバーがおもむろにマイクなどの位置を変え出し、イトケンが表彰状を読み上げ出した。
実は数ヶ月前からスタッフとメンバーで打合せされていたサプライズであったが、まったく気づいていなかったトクマルはあまりの事にしばらくあっけにとられていた。
ユミコの司会進行にて、イトケンから賞状、田中馨からトロフィー、シャンソンシゲルから『ナイトピース』と書かれたたすきを肩からかけられ、最後には芦田と岸田のセッティングしたくす玉を促されるがままに割らされるトクマル。
photo by 佛坂和之
photo by 佛坂和之
『十周年』とかかれた垂れ幕と大量の紙吹雪を浴び立ち尽くすトクマル。会場は笑いと歓声に包まれた。
そしてアンコール再開。"Down Down"の演奏がはじまった。トクマルは『ナイトピース』のたすきをかけたまま歌わされていた。最後に"Parachute"を演奏しアンコールは終了。
すると、客席からはダブルアンコールが沸き起こり、それに応えたトクマルがひとりステージに戻り、"Tightrope"を披露。演奏が終盤に差し掛かるとだんだんとバンドメンバーがまたステージに現れ演奏に加わっていく。そして曲が静かに終わると、ステージは幕を閉じた。
盛りだくさんの、10周年記念Night Piece完全再現+αはこれにて完結した。
photo by 佛坂和之
どうもありがとうございました!!