町田しぜんの国保育園 齊藤紘良 インタビュー

町田しぜんの国保育園 齊藤紘良 インタビュー

トクマル:この保育園を見てるとすごく自由で開けてる印象があるんだけど、子供達が意識をもって、自発的に行動できるような環境がある感じがすごくおもしろいなって。

紘良:まさに物を作る時は自主的に考えないと作れないし、その感覚に似てるんだけど、子供が自分で「この場所に行きたい」「ここで遊びたい」って自主的に思った瞬間に、記憶のメモリーが働くんじゃないかなって思ってるんだ。僕自身が保育園とか幼稚園の時代の記憶があまりなくて、運動会もあったかなってくらい。それってもしかしたら毎日毎日「これやろう」ってされてたんじゃないかなって思って。そういう時間も必要だと思うし、大人が色んな世界を見せてあげるっていう時間も必要。だからうちでは、カリキュラムを完全にふたつにわけてるんだけど、カリキュラムがある時間と自分で選べる時間、両方バランスとれた保育園にしたい。

保育園写真
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トクマル:それはすごくいいなと思う。

紘良:ただ、自由になった時に放任にならないように。ちゃんと職員が見守ってそれを記録しようってことを、「エピソード」って名前で2〜3年続けてる。ただ単に「コップを割ってしまった」だとその子は怒られるだけだけど、もしかしたらコップを丁寧にもって向こうに運ぼうとして割ったのかもしれない、そしたらそれはイタズラではなくて違う気持ちがあったのかもしれない、そういうのをみんなで共有していくと色んな職員がその子の気持ちを汲んであげられるようになる。気持ちを受け止めてあげられることが一番子供達にとって安心するし、それなら「こうやってみよう」とか思えるんじゃないかなって。

保育園写真
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トクマル:ここを巣立って行った子供たちが、その後にどうなったかって聞いたりする?

紘良:うん、様子はちょこちょこ聞くけど、僕が一番嬉しいのは子供らしく成長していくこと。妙に大人っぽかったり、何かが飛び抜けて出来たり、そういう子もすごいと思うんだけど、その年相応の考え方というか、小学生だったら男の子はバカみたいなことやってたり、度がすぎなければ僕はそっちの方がいいと思ってる。 この場で、音楽で面白いことやりたいなって思うこともあるし、アトリエとかを借りて芸術活動やりたいなとも思うんだけど、でも結局は芸術家を育てたいんじゃなくて、ここの場所に愛着を持って帰ってきたいって思える子とか、次に自分からこういうことしようって思える子を育てたい。

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トクマル:そういう考えが、最終的にこんな立派なホールまで作ることにまでなって…

紘良:しぜんの国保育園を作る時に、最初からホールは必需品だと思ってたんだよね。保育園はお昼寝があるし、ごはんも食べるんだけど、通常の保育園はひとつの部屋の中で寝て食べてって生活をひとつの部屋でやるから、おもちゃが出ていたとしたら片付けなきゃ行けないし、時間を中断しないといけない。食べるところと寝るところと遊ぶところを分離させようと思って、大きめに作ったんだよね。せっかく大きく作ったし、外部の人にも使ってもらいたいと思ってる。

トクマル:色んな人に使ってもらえたら楽しいかもね。

紘良:やりたいね。この100年足らずで教育の形が出来ちゃってて、でもそれってもしかしたら不自然だったかもしれなくて。100年前は大人の住んでるところに子供がいて、子供は必然的に大人の姿を見て育っていったり、大人がいる中で隠れたりいたずらしながら育っていって、少しでもそういう雰囲気にしたいんだよね。

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お寺という特殊な環境に育ち、子供の頃から人間の生涯や様々な世界に触れてきた紘良氏が
大切に育んできた思想や新しい試みは、 この『町田しぜんの国保育園』に全て現れているように感じました。

そんな紘良さんと、TONOFONと、SWEET DREAMS PRESSの3組が共催するイベント
『TONOFON SOLO & SWEET DREAMS 2014』が2014年10月26日にこの新園舎で開催されます!

 

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